疥癬を見逃さないために
癬はヒゼンダニの皮膚への感染により、体や四肢に激しい痒みがみられる疾患です。
ヒトの肌から肌へ直接感染します。
老人病院、老人福祉施設などの高齢施設における患者間、介護する家族あるいは従事している人などでの発症が増えています。
症状は感染から2~4週間の潜伏期を経て出現します。
体、四肢の強いかゆみと赤いポツポツした発疹です。
皮疹の表面をピンセットでつまみ、顕微鏡で確認すると
写真のような虫体、卵が確認できます。
ただ、発疹の部位によっては虫体、卵が見つけられない場合もあります。
その場合は、状況や治療経過を確認し、
疥癬を強く疑うか、疥癬として治療するのが望ましいかを判断します。
例えば、疥癬が流行していている施設で、
体のかゆみと発疹が出ている方に対しては、虫が見つからなかったとしても、
疥癬の可能性が高いと考えます。
また、集団生活をしている環境であれば、疥癬だった場合は、さらに感染を拡散させてしまうリクスが
あり、治療をすることがすすめられます。
特に疑わないといけない例は、
前医で強めのステロイド外用による治療をしていたのにもかかわらず、
症状が悪化している湿疹、痒疹です。
多くの場合、湿疹、痒疹は皮膚科医であれば適切なステロイド外用による治療で、
そのほとんどが改善、軽快しますので、悪化している例は、かなり注意が必要です。
まずは疥癬を疑って診療しなくてはいけません。
疥癬は疑わないと診断できない疾患ですので、
疑うことが非常に重要です。