デュピクセント®とは
デュピクセント®は、「IL-4」と「IL-13」という物質(サイトカイン※)の働きを直接抑えることで、皮膚の2型炎症反応(Th2細胞による炎症)を抑制する新しいタイプのお薬です。 アトピー性皮膚炎の皮膚の内部に起きている炎症反応を抑えることによって、かゆみなどの症状や、皮疹などの皮膚症状を改善します。
※体内の細胞同士の情報伝達を行うタンパク質。

投与後、気をつけるポイント
発現する可能性のある副作用とその症状について
過敏症反応
デュピクセント®の投与により、過敏症反応が現れることがあります。
下記の症状がみられたら、投与を中止し速やかに主治医に相談してください。
主な症状
ふらつき感、息苦しさ、心拍数の上昇、めまい、嘔気、嘔吐、皮膚のかゆみや赤み、関節痛、発熱 など
※これらの症状がみられた場合には、次の受診日を待たずに、速やかに受診してください。
※これらの副作用は注射直後だけに起こるとは限りません。
その他の副作用
以下の副作用が現れることがあります。症状が現れた場合には、速やかに主治医または看護師、薬剤師にお伝えください。
注射部位反応
デュピクセント®を注射した部位に、発疹や腫れ、かゆみなどの症状がみられる場合があります。
ヘルペス感染
口周りや唇に発疹などがみられる場合があります。
結膜炎
目やまぶたの炎症症状(赤み、腫れ、かゆみ、乾燥など)がみられる場合があります。
また、デュピクセント®は免疫の働きを抑えるため、寄生虫に対する抵抗力が弱まり、寄生虫感染をしやすくなる可能性もあります。寄生虫感染が治癒するまで本剤の投与を一時中止することがあります。
※上記以外でも、異常が現れたり何らかの症状が悪化した場合は、副作用の可能性がありますので、必ず主治医に相談し、主治医の指示に従ってください。
投与後の注意点
- デュピクセント®を注射した当日は、注射部位への刺激は避けてください。
- 妊娠を希望される方は、主治医にご相談ください。
デュピクセント®の働き
デュピクセント®の働き、期待される効果
アトピー性皮膚炎の患者さんの場合

イメージ図
喘息患者さんの場合
デュピクセント®を投与することで、空気の通りを良くし、色々な刺激に対しても発作や咳を出にくくします。

鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんの場合
デュピクセント®は、IL-4とIL-13の働きをおさえることで、鼻や副鼻腔の炎症をおさえます。 炎症をおさえることにより、鼻茸を小さくするとともに、鼻づまりや匂いがわからないなどの鼻症状を改善する効果が期待できます。
デュピクセント®で治療すると、以下の効果が期待できます
デュピクセント®による治療を受けることができる方
喘息患者さんの場合
デュピクセント®による治療を受けられる患者さんは、以下を満たす患者さんです。
上記の治療を正しく行っていても、下記の項目のいずれかに該当している。
喘息をコントロールできていない
経口ステロイド薬を頻回に使用しており、中止できない
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんの場合
投与できる方
全身性ステロイドなどの薬物療法を実施しても症状が改善しない・長期改善状態を維持できない、または手術後に再発した鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の方にご使用いただけます。
投与に注意が必要な方
- 寄生虫感染のある方
- 生ワクチンを接種する予定のある方
- 妊婦または妊娠している可能性のある方、授乳中の方
- 高齢の方
- 喘息等の他のアレルギー性疾患をお持ちの方
デュピクセント®の薬剤費と医療費助成制度について
デュピクセント®の薬剤費の目安
デュピクセント®
の薬剤費1本あたり ペン:66,562円 シリンジ:66,356円 |
ペンの場合 | シリンジの場合 | |||
---|---|---|---|---|---|
初回 (2本) |
2回目以降 (1本) |
初回 (2本) |
2回目以降 (1本) |
||
133,124円 | 66,562円 | 132,712円 | 66,356円 | ||
自己負担額 (窓口で支払う金額) |
3割 | 39,937円 | 19,969円 | 39,814円 | 19,907円 |
2割 | 26,625円 | 13,312円 | 26,542円 | 13,271円 | |
1割 | 13,312円 | 6,656円 | 13,271円 | 6,636円 |
令和2年11月現在のデュピクセント®の薬価をもとに計算しています。
3割:6~69歳、70歳以上で現役並み所得者 2割:70~74歳で一般・低所得者
1割:75歳以上で一般・低所得者
高額療養費制度
高額療養費制度の仕組み
1ヵ月(その月の1日~末日)の間に医療機関の窓口で支払うべき額(自己負担額)が、一定の金額を超えることになった場合、自己負担額を一定額(自己負担上限額)にまでおさえることができる制度です。詳しくは加入している保険者などにご確認ください。

「多数回該当」制度の仕組み
継続して高額な医療を受ける必要のある方には、自己負担上限額がさらに引き下げられる制度があります。
直近12ヵ月以内に3回以上高額療養費制度の適用を受けた場合(「多数回該当」といいます)、4回目以降の月の自己負担の上限額がさらに引き下げられます。

付加給付制度(健康保険組合等の独自制度)
高額療養費制度は国が定める制度ですが、ご加入の医療保険(保険者)によっては、独自の「付加給付」として、国が定めるよりも手厚い医療費助成を行っており、自己負担上限額がさらに低く設定されている場合があります。
すべての保険者で実施されているわけではありませんので、詳しくはご加入の保険者(健康保険組合等)にご確認ください。
お問い合わせ先:健康保険証に記載されている保険者
(健康保険組合等)
指定難病に対する医療費補助制度
国が指定している指定難病と診断された場合、その疾患の治療にかかった医療費に対して、助成を受けられる制度です。 好酸球性副鼻腔炎は指定難病に指定されているため、デュピクセント®を使用している患者さんのうち、好酸球性副鼻腔炎と診断されている方は、医療費助成を受けられる場合があります。
学生などへの医療費補助制度
大学などの学校では、独自に学生の医療費負担を補助する制度を運営している場合があります。指定病院がある場合や、手続きが必要な場合もありますので、詳しくは学生課などにご確認ください。
お問い合わせ先:大学の学生課など
子どもへの医療費補助制度
各自治体で、子どもに対する医療費助成制度が設けられています。対象年齢、助成内容、申請方法が自治体により異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。
お問い合わせ先:お住まいの市区町村
ひとり親家庭への医療費補助制度
自治体によっては、ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)の方に医療費助成を行っている場合があります。助成内容や申請方法が自治体により異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。
お問い合わせ先:お住まいの市区町村
医療費控除
生計を一にする家族が1年間で支払った医療費の総額が10万円(総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%)を超えると、医療費控除を受けることによって、所得状況に応じた還付金を受け取ることができます。医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。医療機関から発行された領収書は必ず保管しておきましょう。

お問い合わせ先:最寄りの税務署
指定難病に対する医療費助成制度
指定難病とは?
- 発病の機構が明らかでなく
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾病であって
- 長期の療養を必要とする疾患
難病のうち、とくに国が定めた基準に該当する疾患を指定難病といいます。
指定難病と診断された場合、その疾患の治療にかかる医療費の一部が助成されます。
あなたの病気が好酸球性副鼻腔炎の場合、医療費助成の対象となることがあります
好酸球性副鼻腔炎は指定難病に指定されており、一定の基準を満たす患者さんは、医療費の助成を受けることができます。
